とばされろ
竜門勇気


何処なんて場所はねーんだ
さみしーなんて言葉なんて
アンテナ立てて鼻かんで
みんなその荒野にぶちまければいーんだ

十九日二十日前
骨散らばって腐れの影もねえ
誰かの影が
視界の端にだけうつる

砂粒がはなっから舞ってて
なんかこんなとこには
風が吹かないんだと思ってたぜ
赤い鳥の風切羽は
奴らを切り裂いた印だと思ってたんだ

そこなんて遠くもねーのに
なる鐘の音で諦めてたんだ
汚れた沼から這い上がる
バケモノ殺して夜が明けていく

十分に十分の一日前
音が聞こえて光が見える
耳も目も心につながってない日
誰かの影が右手を取ってはしゃいで振り返る

帰れるガスの中
まだずっと振り返る所作がまぶたの内側
水晶の中で
行ったり来たりで前に進まねーし
そんな回帰が心地いーのは
こっちの罪なんだ
なんかねみーしそれにこえーぞ
帰れるガスだって聞いたんだ
聞いたから来たんだ
怖くなんかなかったんだ
初めは 初めのあたりまでは

殺したバケモノは前より小さくなってよみがえる
いい子ちゃんで甘えん坊のバケモノだ
何になりたくて再帰するんだ
はじめからだから気づかなかっただけで
踊る砂粒にずっと運ばれてた

気持ちのいー嘘に望んで騙されて
頭のいー話に乗っかって
気持よくて頭が良くなった振りしてたのに
いい子ちゃんのバケモノは
僕の中でロックバンドを組んで
世界のすべてを疑う歌を歌い出してしまった

もう引き返せない
この爆音がずっと頭ん中で
もうほんとやべーもんまでぶっ壊そうとしてる
この爆音が頭ん中で
錆びてたアンプに壊れた楽器をつないで
とてつもなく正しいことをぶっ放そうとしてる

壊さなくてもいいものも
壊さなきゃいけないものも
途方もなくデカくて
どうしようもない固い何かで
僕の中の電気を全部使って
飛ばす気だ
飛ばす気だ
スピーカーの僕の世界も
飛ばす気だ
飛ばす気だ

もうなにかでなにかをしたきになれないぐらいに!
もうだれかでだれかにかったきになれないぐらいに!
どこかでここをすてたきになれないぐらいに!
みすごしたけしきをいいわけにできないぐらいに!

世界のすべてを此処にしてしまうぐらい
ずっとずっと内側に!


自由詩 とばされろ Copyright 竜門勇気 2014-11-19 23:28:53
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