ぶっつけて未詩10
Giton
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真白いカンバスに、チューブから捻り出した絵具を
まず叩きつける。これがぼくの描き方、原色のまま
何色も何色も叩きつける。赤とみどりがぶつかって
悲鳴を上げている。かまいはしない。良いてんきだ
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青空、橋の上にカンバスを出して叩きつけていると
通り過ぎる人がおどろいて振り向く。少し離れると
ちらちら見ては、ひそひそ。眉を寄せる、嗤い合う
立止ってじっと眺める。そこから橋が落ちるといい
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一通り塗り終り白い隙間がなくなったら、腕を組み
ゆったりと眺める。むろん風景と似ても似つかない
それから油で描いてゆく。色が滲む、風景が現れる
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絵具は草になる、樹木になる、人になり、空になる
彩虹三稜玻璃はぼんやりと変形し、煤んだ街になる
ほらぼくがいる。きみがいる。子供達が走ってくる
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