きみのすべてよ応答せよ(ゴル投稿)
百均



昼、目が覚めた時のシャンプーが、甘ったるい香りを躰に貼り付ける。毒蜘蛛が私の身体を食い破るなら、私はそれを水に流そう。パンと水を、私は食べよう。



数を数える度に、右から左へと視点が写る射影機の柱に達、モノクロな断頭台と、その近くに寄り添う、彼が生涯を尽くして、紡いだ、誰も知らない物語が、彼の生涯を燃やした、ある城の中で燃え上がる、彼の指先の血を光は紅く映さなかった、血は左右の違いさえ、私達に色をあたえてくださらなかった。



血の色が乳白色の、乳が紅い色を灯している、という、風が窓から蚊の屍体をキーボードの隙間に運んでくるのをみている。彼らが庭にでて、作物が育つ為の土を耕している間に、君と僕と彼は、波が彼らを攫っていくのを、椅子に腰掛けて、ただ祈っていた。としたら、君の話は、涙は、水に枯れてしまうだろう。萎れた野菜ほどまずいものはない。



彼女が育てているのは、卵を産み続ける鶏達と、鶏達を育てる為の大きな納屋だった。納屋を育てる、という言い方はおかしいという人たちは、昔は大勢いたが、そのうち少数になった。(彼らは流されてしまった。)藁の中に埋もれた、新鮮な卵を私は拾い集める。集められた卵は私が焼いてオムレツにする。オムレツにされた卵はまた卵になる。卵は集められてオムレツになる。オムレツは食べられる。鶏は増え続ける。君はその中で育てている。夕食、君の冷蔵庫には少しばかりの酒と大量の卵しか入ってなかったね。小麦に自家製の酵母を練りこんで、膨らんだ生地を焼く前に落としてしまった君の話はどれも腐った牛乳より臭いが酷かった。けれど、零した牛乳は誰かが雑巾で拭いてあげなければならないね。それは酷く退屈だった。けれど、君の話はもう聞き飽きた。



魂の食物、という名前の忘れたあるアメリカ人の詩の一篇を僕は君に話して、君は神様の話を返して、僕は庭にさいた名前をしらない花の話を、君は花の名前を、僕は名前を忘れようとして、君は忘れさせようとしなかった。君は焼きたての様々なことについて、世界を僕に話しながら、僕は水に流された様々な話をして君は僕に彼のことについて話てくれたが、僕は彼のことについて興味なんてなかった。君は彼についてどう思うって、僕はいや別に。困った顔なんてするなといった。僕は別に困ってなんかいない。



清潔、という言葉から程遠いところにある鶏小屋の前に、太陽が昇った。朝日と名付けられた葉が落ちる頃にシャンプーをした君の五月の葉っぱが翻る朝に僕は、僕は、僕は、



僕達は生きている、という木の下で、君のことがききたい








即興ゴルコンダ(http://golconda.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=4931898#10835342


自由詩 きみのすべてよ応答せよ(ゴル投稿) Copyright 百均 2014-11-12 07:05:30
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