美輪明宏の香り
吉岡ペペロ
美輪明宏の幻だらけだった
美輪明宏ならすべてを歩いて確かめているはずだ
たとえ肉体でなくても霊魂でそうしてるはずだ
座席を探していたら香りでむせ返った
まんなかあたりに座って俳優や照明に指示を与えていたのだろう
口のなかに美輪明宏の味が広がった
舞台の美輪明宏は黄金に見えた
見た目ではない
美輪明宏こそ曲がることのない真実の黄金なのだ
美輪明宏がいつもの口調で台詞をしゃべっていた
男女美輪明宏美輪明宏美輪明宏男美輪明宏女女男美輪明宏・・・・・
人間には男と女と美輪明宏がいる