好きな季節
ドクダミ五十号

篠津く雨
傘も差さずに
初冬と言う季節を
味わう為に
落ち葉を踏みながら
とぼとぼと
もう冬なんだと
ピラカンサスの真紅
枝撓むほどの柿の実の朱色
山茶花の葉は雨を受けて艷やか
短く刈り揃えられたドウダンツツジも渋い色だ

歩くほどに視界に捉える四季の移ろい
一つ咳をすれば可愛らしい雀が舞う
百舌鳥はくるだろうか
蛙を見かけないこの町に
角度で桜の文様が光で浮かび上がる茶碗で
番茶を飲んで
私にも冬を越えて春が再び訪れるだろうか
などと決して解らない遠い先を思う



自由詩 好きな季節 Copyright ドクダミ五十号 2014-11-09 08:31:15
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