「勇者」立つ
ブルーベリー

彼はきっと
暗い影を背負っているのだ
暗い影を背負って立つのだ

彼はたぶん
曖昧な世界を光の中で見過ぎた
一度遠退いた世界で
明日を失くして
明日を配り始めて

波打ち際
本当なら 彼にはまだ 遠いはずの 
影をついに見てしまったのさ!

足を引きずり
身体を濡らし
天を睨んだ
勇ましい彼を
絵描きが鮮やかに描き上げ
吟遊詩人が美しく謳えば
観客は息を呑む

でも

彼が一体何に剣を突き立てたのかは
誰も知らないことなのだけど



自由詩 「勇者」立つ Copyright ブルーベリー 2014-11-09 02:31:51
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