少し良い
ドクダミ五十号
眠れないのは少し良い
電灯も点けず薄暗い
六畳間にカラカラと
回し車の音がするのは
眠れないのは少し良い
苦い過去を吐き戻し
くちゃくちゃと咀嚼
案外甘みもあるのだと
眠れないのは少し良い
窓の外と部屋の明暗
堪らず開いた窓の外
逞しい緑が笑むを観る
眠れない夢か現か幻想を見る
気が付けば二三日経っていて
狼狽える事もある
その間に意識が無かったかと言うと
あると言えばあり
無いと言えば無い
まぜこぜの意識
逸早い入院をと医師が言う
でも私は医師に言う
少し良いですからと