モンキー
竜門勇気


羽をくれたまま消えたあるじは何処
膝を抱えたアイツを
忘れて世界を救った英雄は何処

君はさるしばいをする
そしてほんとに消えちまう
君はさるしばいをうまく扱う
僕もうまくうなずく

壁沿いに歩いていた
記憶の中の夏の日
まともに見てしまった太陽の
残像が世界中を黒い穴でいっぱいにしてる

君はさるしばいを続けて
ドアノブを握ったまま凍ってしまった
君のさるしばいは楽しい
僕の瞳の裏側の残像

夏の日の黒い穴
願いを聞くだけの輪郭が
ドアノブをひねりかけたまま
僕に黒い穴を二つこっちに向けている

この腐れ残骸たちを
叩き壊す呪文を
今日唱えるとしよう
記憶の中の夏の日は
君と太陽の黒い穴は
今日でおしまいにしよう
僕のお芝居もおしまいにしよう
なんども決意したし
なんどかはそうしたんだ

けどもうだめなんだ
この僕の今日が
どっち側にあるのかわからない


自由詩 モンキー Copyright 竜門勇気 2014-11-07 22:23:43
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