なかったことになりました
ユッカ
インターネットに載せた詩を消したって死ねるわけじゃないのに
消したくなってしまうよね
死にたく
…
あ、ああ、音にも、なれないような言葉が、ノドの奥につまっていまして、それをなんとかとろうとして、指をつっこむようにして、言葉をさがすけど、あ、ああ、気持ち悪くってできません。しょうがないから家の庭を掘ってみたけど、埋蔵金も温泉も見つかるわけがなくって、ようやく何か引き当てたと思ったら、あなたが五年前に植えたチューリップの球根だったので、丁重に、あるべき場所に戻しました。
うしなったもののことを思い出すと、わたしの体の中に無数の泡ができて、それがとめどなく、増えたり消えたりする。こんな季節にはそれが寒くてしょうがない。肌にできるあわを鳥肌と言うよね。体の中は水なのに、鳥になんてなれないのに、へんね。
さっきから、右に左に、改行されては消えていく、渦巻いている想いに形を与えてほしくって、大切な人を呼び出して言葉をさがしてもらってしまうけど、ほんとはさ、わかるはずもないんだよね。あなたはわたしの辞書じゃないんだから。
どうしようもなくなって、いましめに、書いたものを全部消してみようとするけど、そんなことしたって間違えたわたしがいなくなるわけじゃないし、せいぜい、お風呂であったまって寝るかって、とこかな。
この感情をなくしてしまう。火照りながらたしかにここで、渦巻いていたはずの、大事な感情をすべてうしなってしまう。黙ってふるえていることができない、わたしは今も感情を改行している。