妖怪
イナエ
妖怪
都会の妖怪は
昼間に出るらしい
夜は明るくて
隠れる場所が無いから
たとえば
人の途絶えた午後
ビルの屋上に出るドアの
前に佇む影
あるいは
休日の事務室に
並んだデスクの前で
腰を下ろして
失った首を胸に抱え
あの日の
分岐点での選択に
後悔だけが繰り返され
沸き上がった泡(あぶく)が
ギリリ ギリリと
歯ぎしりをたてている
自由詩
妖怪
Copyright
イナエ
2014-11-04 18:57:30
縦