鳴 動
田代深子






後頭部のかさぶたかきむしって
かきむしってはじき出したコンテンポラリー都々逸 雷鳴のごときフレーズ
こいつをひっさげ天京ツアー 俺たちの前で
広大なクレーターは激揺れ 無音だ
無音が
おまえの肥大しちまった心臓をかみつぶす 聴けヨシアキ!
壁を駆け昇り天井から宙返り戸を蹴りつけてスロープにこけまろぶ ランチカートに激突しいつもの昼飯が跳ね上がる 艶やかなプレーンオムレツ
軟らかきゼロGともに漂う ああ
懐かしいおふくろのオムレツ 鳴りわたる風
あのときも俺は走っていた
俺の耳の中ではまだ真に新なるフレーズが爆竹のごとし 火をつけて投げるんだ 涙をつめたビール瓶とともに
俺は裸足で走る この円形スロープを カツミ! おまえに
聴かせてやりたい聴かせてやる聴いてくれ
眼底叩くビートとともに
俺の前に立ちふさがるランチカートランチカートときどきクリーニングカート洗浄液を吹き上げろ 俺は泡にまみれる 走れ鳴れ
ここにいないおまえのために俺は歌う ここにいないおまえのために
俺は鳴りわたる






2004.10.12







自由詩 鳴 動 Copyright 田代深子 2005-01-31 08:02:05
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