蝿よ
小川 葉



蝿よ
そんなに酒が飲みたかったのか

その小さな体で
グラスの焼酎を
飲めるとでも思ったのか
かつて君が人間だった頃のように

蝿よ
君はもう人間ではなかった
そんなことは
知っていての行為だったのだろう
それはよくわかる

蝿よ
酒は飲むものだ
飲まれてしまえば
人間でさえ溺れてしまい
死ぬことだってあるのだ

なのに蝿は
その小さな体で
私の焼酎グラスに飛びこみ
そうして死んだ

蝿よ
私もいつか蝿に生まれ変わったら
同じことをするであろう

蝿よ!



自由詩 蝿よ Copyright 小川 葉 2014-11-02 19:36:09
notebook Home 戻る  過去 未来