灰色、それでお終い
凍月



こんなものだっただろうか

月を見上げて、
綺麗だな、と想った

それでお終い

朝日が上った
眩しいから目を逸らした

それだけ


ノートに這う寝ぼけたみみずとか
絵の具が固体化した欠片とか
ずっと向こうの高速道路で
光の列を作っている、その一つとか
或いは
水溜まりに半分浸ったノートの断片
《Re t n P ac 》

そんな物たちで
この世界が繋ぎ合わさっている
気がする


カップに満ちていたコーヒーは
何故冷たくなってしまったのだろう?

僕の中の何かが
どこかの風に吹かれて消えた


くすんだ灰色が見える
色褪せた世界に見える


月を見上げた
綺麗だな、と思った
灰色の月面が心象風景と重なった
その時にはもう興味も無かった

それでお終い






自由詩 灰色、それでお終い Copyright 凍月 2014-10-31 21:55:58
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