灰色、それでお終い
凍月
こんなものだっただろうか
月を見上げて、
綺麗だな、と想った
それでお終い
朝日が上った
眩しいから目を逸らした
それだけ
ノートに這う寝ぼけたみみずとか
絵の具が固体化した欠片とか
ずっと向こうの高速道路で
光の列を作っている、その一つとか
或いは
水溜まりに半分浸ったノートの断片
《Re t n P ac 》
そんな物たちで
この世界が繋ぎ合わさっている
気がする
カップに満ちていたコーヒーは
何故冷たくなってしまったのだろう?
僕の中の何かが
どこかの風に吹かれて消えた
くすんだ灰色が見える
色褪せた世界に見える
月を見上げた
綺麗だな、と思った
灰色の月面が心象風景と重なった
その時にはもう興味も無かった
それでお終い