2014
大島武士

世界が卵を温めている
幼い日に感じた感覚を
確かに今も感じながら
解けないパズルを目の前にして
少しだけ強くなろうとしているのだけれど

世紀末にピースフルな気分で
早い速度で移り変わっていく 世界に温められながら
駆け足で何かをしながら
世界の卵を 突きたいとあがいたあとに
新世紀が訪れて 不意に
正体不明の無力感にとらわれても
大量の言葉を吐き出しては
卵を突こうとし続けたのだけれど

世界の内側から 外側から
前よりずっと不安定な場所で
世界の卵は突かれていたって
後になって気がつくんだ

世紀末にピースフルな気分で眺めていた
『BEATLES ANTHOLOGY』を
今になって初めて聴きながら
本当に年老いた人以外のすべての人たちに
未来が果てしなく開けた気がして
今がとても 危険な年号だって気が付くのさ

卵がついに孵化するまで
まだまだきっと
長い時間が必要で
僕らはそれを温め続けなければならない

世紀末に張りつめた気分で聴いていた
『ABBEY ROAD』を聴きなおしながら
解けないパズルに向かい合いながら
パズルを少しだけ強くしようとしているのさ

新たな言葉を紡ぎながら
パズルのイラストが少しだけ
世界を温めるよう願いをかけるのさ



自由詩 2014 Copyright 大島武士 2014-10-31 00:20:17
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