塩崎みあき

壁に向かって
うなだれている後ろ姿の
肩に手をかけると
静かにふりむいて
意味不明の
笑顔
ワンセグで
映画見ててん

イスが
沢山ある部屋にいた
イスの背もたれを
微かに撫でてみたり
クセなんや
あんた困ると
どっかしきりに
触るよな
ほら

指と布の間の
細かい物たち

気付かないと
どこにも居ないのと同じ

寂しげな空間の
つるんとした壁に
額を軽く打ちつけ
ながら
どうしたらええん
なあ

叫びたいから
カラオケ行って
殴りたいから
バッティングセンター行って
泣きたいから
殺すんやろ何度も

一度俯いてから
再び仰ぐ
大きな瞳が
青白い光に
濁っている


自由詩Copyright 塩崎みあき 2014-10-28 04:43:07
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