虚ろ移ろう
瑞海


あのね あのね

夜の交差点
五月蝿くて
時を止めたの

タイツを脱いで
アスファルトと接する足が
痛くて ゾクゾクするの

高級車に引っ掻き傷をつけて
十字の交差点で
見えない月に向かって
わんわん泣き叫ぶんだよ

あの時私の中にあったものも
握りしめていたものも
いまは誰かさんのもので

現実も知らないふり
黒い前髪
流し目で串刺し
心 流血 赤い道

横断歩道の点字ブロック
ローファーとタイツと誰かの小指

空っぽの心は
生まれ変わらないんだよ
それって一番
救いないよね 笑

血はとっくの昔に
固まってしまって
いまは流れないの
あなたは私の血
飲めないよ 不味いし

だからこの世界でまた違う体探すの
こそばゆくなったら
自分で裂くの

見ててね
上手く裂けたら
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自由詩 虚ろ移ろう Copyright 瑞海 2014-10-27 21:18:46
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