虚ろ移ろう
瑞海
あのね あのね
夜の交差点
五月蝿くて
時を止めたの
タイツを脱いで
アスファルトと接する足が
痛くて ゾクゾクするの
高級車に引っ掻き傷をつけて
十字の交差点で
見えない月に向かって
わんわん泣き叫ぶんだよ
あの時私の中にあったものも
握りしめていたものも
いまは誰かさんのもので
現実も知らないふり
黒い前髪
流し目で串刺し
心 流血 赤い道
横断歩道の点字ブロック
ローファーとタイツと誰かの小指
空っぽの心は
生まれ変わらないんだよ
それって一番
救いないよね 笑
血はとっくの昔に
固まってしまって
いまは流れないの
あなたは私の血
飲めないよ 不味いし
だからこの世界でまた違う体探すの
こそばゆくなったら
自分で裂くの
見ててね
上手く裂けたら
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