確かに結婚したけれど
番田 


自転車である日
どこかへ向けて やみくもに
車庫の自転車をこぎ出したことがある 
白いペダルをふみこんでいた 

そして 誰もいない場所へ 
暗闇の僕の目には見えない方へ 
きっと その方角の方が
少しだけ 僕には 楽だから

今日も街は 雨が降っている だけど
あの若かった日が思い出される 
年老いた僕は旅行に出かけた 
目的もなく街を歩き回った  

僕はどこに向かうのだろう そして
埼京線の中で 僕は 今
運ばれている肉の塊 そして
道具のような労働にかり出されている



自由詩 確かに結婚したけれど Copyright 番田  2014-10-27 01:00:56
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