夜の来訪者
服部 剛
昨年、天寿を全うし、肉体の衣服を脱いだ
山波言太郎先生の御魂に捧ぐ手紙を綴り
我が家の神棚に、お供えした。
妻が蝋燭に、火を点けた。
少しして、じいぃ・・・と言って
火は、消えた。
――風も無いのに、不思議ねぇ・・・
――山波先生、いるのだろうか・・・
その夜、書斎で本を読み
いつしか瞼は、重くなり
山波先生に
(日本が平和でありますように)
と一言祈り、眠りに落ちた。
ふいに目覚めた、午前三時。
(誰もいないのに、誰かいる・・・)
ひと時の後、眠ったが
朝起きてからも、忘れ得ぬ
夢か現か(あのひと時)
透きとおる面影で立っていた
異界からの来訪者