夕焼け
八布

読んでいた文庫本を閉じて
窓の外に目を移せば
桜の枝に風はなく
文字に疲れた目に飛び込んでくるのは
夕焼け 夕焼け 夕焼け
ばかり


今日の夕焼けは
まるで
いつか見た夕焼けのようだ
なつかしいような
それでいて新しいような
何もなかった休日の最後を
ちょっとだけ彩って


帽子の形をした雲も
クリームパンのような雲も
みんな等しく染められていく
それを見ている僕の顔も
きっと真っ赤に染まっていて
同じ夕日を見ている
僕の知らない誰かの顔も
きっと真っ赤に
染まっているのだろう





自由詩 夕焼け Copyright 八布 2014-10-20 17:27:57
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