並木に沿って小さくなる背中
ただのみきや
学校帰りの女の子がふたり
ひとりはピンクのパール系ランドセル
ひとりは水色でステッチが入っている
驚くほど洒落たかわいい服を着て
(これは昭和の感覚 たぶん)
さえずりは巣の中の雲雀の卵のあたたかさか
蜂や蝶ばかりに好かれる陽向のシロツメクサ
楽しそうにじゃれ合って
にぎやかに過ぎて行く すると
転がり落ちた鈴みたいな濁点が跳ねて
半ば腐った死人の耳目に飛び込んだ――
生き返った詩人は胸ポケットのペンを探り
ひらり と風に舞う
木の葉を手繰り寄せた
《並木に沿って小さくなる背中:2014年10月12日》