並木に沿って小さくなる背中
ただのみきや

学校帰りの女の子がふたり
ひとりはピンクのパール系ランドセル
ひとりは水色でステッチが入っている
驚くほど洒落たかわいい服を着て
(これは昭和の感覚 たぶん)
さえずりは巣の中の雲雀の卵のあたたかさか
蜂や蝶ばかりに好かれる陽向のシロツメクサ
楽しそうにじゃれ合って
にぎやかに過ぎて行く すると
転がり落ちた鈴みたいな濁点が跳ねて
半ば腐った死人の耳目に飛び込んだ――
生き返った詩人は胸ポケットのペンを探り
ひらり と風に舞う
木の葉を手繰り寄せた




  《並木に沿って小さくなる背中:2014年10月12日》







自由詩 並木に沿って小さくなる背中 Copyright ただのみきや 2014-10-18 21:24:35
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