手を伸ばす
はなもとあお

「どん底にあって
何か空白を
埋めるものが
欲しかった」

(KOHKOKU/2009/April/Vol.378/9頁)

夢みていた
こと、に、
手を伸ばして
目標にしてきた
まだ
手を伸ばしたままの
こと、も、ある
いまある
現実を歩きながら
次に
何を叶えたいのか?
叶えられるのか?
まだ見えない
未来を
思ったりしている

夢を
手にするのに
さらされる
厳しい目
必要なクオリティ
その高低の
あいだで
さまよう

埋めたいのは
さみしさかもしれない
本当に
欲しいのは
自分だけに特別な愛だったり
だけど
誰でもいい訳じゃないから
結論は
難しい

わたしは臆病だから
きっと
ちょっとずつ
価値観をはかりながら
距離を詰めていけるくらいの
ゆっくりさで
ちょうどいい
複雑に入り組んだ
愛や夢や希望や
甘えたさ
口にできないまま
他愛ない日常で
少しずつ
表現して
近づけたらいい

身体をかわしたら
簡単に
満たされるみたいで
かなしみは
そんなことを
最後にしたがる
欲望を
理解しない訳じゃないけれど

皆が持っているみたいな
つながりのあたたかさに
憧れながら
深く
途切れない
それを
求め続けている

日常に追われながら
それでも
空白に
手を伸ばす





自由詩 手を伸ばす Copyright はなもとあお 2014-10-18 17:21:43
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