じょろうぐも 【詩人サークル「群青」 九月のお題「悩」への提出作品】
そらの珊瑚
動くものなら
食べてしまうその本能を
罪ではないと
あなたがいう
あわただしい
交尾のあと
わたしが捕まえるより早く
どうか逃げおおせてください
大きな腹を抱え
一晩かかって
編み上げた
労働の証し
糸の宮殿のその端で
じっと息をひそめる
あなたは既に
賞賛に値する かたわで
脚はわずか二本を残すだけ
朝露が
まるで命のように
ふるえる
にじ
いろ
たべられることは
かえがたい愛なのだと
あなたがいう から
悩み
おもいわずらう
わたしの昏い心の底を
モルヒネのような
煌々たる朝陽が
さらって
ゆく
この文書は以下の文書グループに登録されています。
「詩人サークル 群青」課題作品