顏もないのに笑ってやがる
ただのみきや

昇天したくなるような
空一枚 鉤裂きにして


「おまえもおんなじ
       襤褸だねえ


握りしめた石ころ落とす 
脆弱な意思の皮袋


かけはぎなんかいらない
ミシンサシデジュウブン


悪意と呪いの千人針まるで
抱擁したくなる愛おしさ


時化を掻っ切るカモメになれず
重さもなく失速した祈り紙飛行機


白痴の打ち鳴らす拍子木
心地よいリズムは月のように


猫のように満ち欠ける
おれ一人 八つ裂きにして


秋は風と光でできた女
詫びも錆びもしない銀の通り魔




     《顏もないのに笑ってやがる:2014年10月12日》










自由詩 顏もないのに笑ってやがる Copyright ただのみきや 2014-10-15 20:49:23
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