とりつくしまという名前の島での物語 オムニバス三篇
るるりら

【青が崩壊する。】題名は あまさらさんです。


こんこんと 混沌
どくどくと 清濁入り乱れ
大地と空が 激昂する
相容れない物どうしが交信しようとして
雨戸を叩く

夜の闇に
身を投じている時は
いつだって独りだったけど
嵐が 青い考えを吹き飛ばして
すべてを支配しようとする力に揉まれて
今は、 なにか とりつくしまを探している

外から帰ってきた あなたの頬が赤い
軍手の下で燃えている指先
錠をかけると同時に開かれる心が

脈を打つ 






【手を振った、実が落ちた】題名は みずけーさんです。


朝日を受けた川は 銀布のよう
車の走りは すべるよう
千の せいだかあわだちそうの群れが
金の花穂を 天に示しながらも
無数の腕を 一斉に わたしへ振っている

   いっておいで

大地ごと隆起した山々の上で
緑はさらに もくもくと萌え
雲は しだいにちぎれ 大空にそよぐ
過剰に飽和した部屋は 忘れて いいよ

   いってらっしゃい

高速で走る車の振動は ここちよく
うつらうつらと意識は遠のく
ぼんやりと瞼をあけると
山々にまたがる巨人の境地

  よく ここまで 来たね

ここは ヘブンブルーの空に
ビーナスピンクの溶け合いはじめた海と空
すべてのものが
しなやかに踊る

いちるの風に この身は ひるがえり
いままさに落ちようとしている
夕陽の
わたしは、きっと 一粒種







【風のはじまりをあなたは知っていますか? 】題名は 紅茶くんです。

昨日の私が手を振った
               明日の私のための果実を おとしながら
昨日の私は死んでいった
               今日の私になるために
昨日の稔が 今も遠くで手を振っている
                今日の稔に 挨拶するために
昨日の稔が足を振っている
                 明日の私までも躍らせようと
昨日の稔は 乾いてくる
                   乾いた心でも歌える歌をさがして
  


きのうの歌は とてもちいさな姿で
やさしくなれない空洞を抱えた わたしのところに やってきた
歌の姿は ちいさな小鳥のようだった
つばさやおしりを タクトのように振っている
おもわず 私の乾ききったこの胸は 
コントラバスのように低く鳴いた
無我夢中でないていた すると鳥も鳴いていた
しだいに やわらかなリズムがそだち           
鳥とわたしのあいだから
ほのあたたかい風が 
うまれた

       
       
    
      
 





       
                      
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即興ゴルコンダ(仮)より題名をいただいた三篇です。
http://golconda.bbs.fc2.com/

風のはじまりをあなたは知っていますか? と、いう作品だけは
現代詩フォーラムが初投稿です。



自由詩 とりつくしまという名前の島での物語 オムニバス三篇 Copyright るるりら 2014-10-15 10:33:49
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