少し離れた椅子に座って
オイタル

少し離れた椅子に座って
家族の談笑を聞く
妻の伸びた髪 子どもたちの長い脚
ぼくの指先に 笑うニーチェ

汚れた携帯ストラップが揺れて
家族に笑顔がこぼれる
振り向く妻 立ち上がる子どもたち
ぼくの指の腹がこする テーブルのしみ

あなたは家族なんていらないのよと
彼女は言う 
ぼくの目は
夕空を飛び交う蝙蝠

ぼくと家族の間にある
森の小川の夕暮れを
流れていく
若草色の愛情


自由詩 少し離れた椅子に座って Copyright オイタル 2014-10-14 23:55:32
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