蜘蛛 
あおい満月

かきけされたものを
かきけしていく
はぎとられた爪が
残した影は
えぐりとられた
月の皮膚
窓にうつるその
ひかりは死んだ
哺乳類の耳を持っている
その耳に囁くのは
生きることに飽きた
女たちの恍惚が伸びる指の音

また夜が、
踵を響かせてやってくる
雌の蜘蛛が膝まずいて
一定の糸を吐きながら
世界を白く創っていく

詩を創るように

一滴、一滴、
はぎとられた爪が
抉った月が
笑う。
涎を滴ながら。


自由詩 蜘蛛  Copyright あおい満月 2014-10-13 15:22:19
notebook Home 戻る