紅葉群
千波 一也


なにか
あたらしい生命を宿したように
ある種の覚悟を
はらんだようにもみえる
鮮やかな紅の群れ

陽をあびて
風にながれて
堅くも軟らかな血脈として
秋を運んでいる


その
秘めた決意をかくまうように
橙色と薄黄色と渋茶色

決別と決闘と決断と
決めかねて踏みとどまったか
今まさに朱に交わらんとするか
見届けの立場に徹することにしたか

いずれにせよ
趣に富んで火照る思いを囲っている


まだ
色づかない緑の葉のひと群れ

あれは、わたしだ

気づいているのか
気づいていないのか
周りに染まらない有り様の
ある種の強みの
愚かさ

あれは、わたしだ








自由詩 紅葉群 Copyright 千波 一也 2014-10-12 22:10:46
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