新しい靴
Lucy

その靴は私の足にあわないので
履くたびに痛みが増しました

1日その靴を履かなかったら
少し痛みがやわらぎました

どうしても
その靴をはきたかったので
翌日は我慢して履きました

鏡に映った自分を眺めて
なかなかいいと思いました

その日も痛くなり
足を引き摺って帰ってきました

お気に入りのその靴は
私の足にあいません
だけど履きたい

硬い革が少し伸びて
だんだん足に馴染むでしょうか
お店の人はいつもそんなことを言う
それとも神経が次第に麻痺して
足の方が靴になじむようになるのでしょうか

私は今ではおとななので
履いてみた瞬間に私の足にはあわないとわかる

同じ失敗を繰り返してはいけないということも

だけど
私の足にあう靴は世界中のどこにも売っていないのだ
ということも既に知っている

だから
素敵な靴を履く

長年無理をしてあわない靴ばかり履いてきたので
どんなに足が痛くても
平然と顔に出さず颯爽と歩いているようにみせる
そんな技は身につけた

私は私にあう靴ではなく
私の履きたい靴を履く

いつか自分の足にぴったりあう靴を
オーダーメイドで作ったら
どこまでも
翔ぶように歩いて行けるのだろうか
思うまま
伸びやかに
見栄をはらず
我慢もしないで

自由に生きていけるだろうか




自由詩 新しい靴 Copyright Lucy 2014-10-12 21:24:14
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