カナリヤの羽根
あおい満月

むしられた羽根が
散らばる四畳半は
着古した洋服の匂いが漂う
何週間も閉じられたままの
ノートパソコンは
化石になって
口に埃が溜まっている

以前のようには
唄えなくなった
カナリヤは
自分の羽根の赤色は
夕暮れの空を映しているから
赤いのだと信じている

カナリヤの羽根の色
哀しみの赤い色

青い鳥が朝の空に還るように
夕焼けの空に還りたい
かぐや姫と自分を重ねては
月を見て泣いている
部屋の窓があいて
羽根が空へと舞っていく
今夜、旅立とう。


自由詩 カナリヤの羽根 Copyright あおい満月 2014-10-12 16:03:28
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