為平 澪

誰かが 私の家の
屋根裏部屋に上がって オナニーしている

階下には 小さな人形が
黒い大きな座椅子に 足を開げて 置いてある

その人が 上で 思春期をふるわせた声を漏らす度
椅子からはみ出した 人形の指先に
麻痺した ヒビが入っていく

足を開かされた人形の 窪みから
夢のような目が 覗きこんでいる

その目が 昼と夜の間を
瞬きしながら 行き来する


外は 雨
小さな隙間を作ってしまった二階の ブラインドから
人形の顔に 粒子のような水が落ちる度
窪みの目は 見開いたまま 独りでに 充血していく

(そろそろ、を、、して、、かないと、)

誰かがしきりに 喋っているが
その正体を 私は知らない



自由詩Copyright 為平 澪 2014-10-12 14:40:40
notebook Home 戻る