水母の子
瑞海




午前2時15分の約束

ふたりあわせて
むかって 踏切
合言葉は
透明な電車にかき消されました

音のしない午前2時40分
住宅街 青い月 砂浜
波の音だけ 鼓膜を撫でる

終わりを迎えた僕らは
泣きも笑いもしない

幸せになれるおまじない
ある人から聞いたんだ

この世界で一つになれないなら
目を塞いで
大人の言うこと聞かないで
僕らで遠くに行ってしまえばいい
誰も知らない
僕らが出会った秘密の場所

ただ 手をぎゅっと
彼女が握り返したから
お別れの合図
人一倍に抱きしめて

深青は目の前
呼吸を合わせて
生まれた時とおんなじさ
僕らその頃から一緒だったでしょう

泡沫が身を剥いで
海に命が溶けていく

そんなふたり
あわせて
水母になりましたとさ



自由詩 水母の子 Copyright 瑞海 2014-10-11 19:33:21
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