いたみ
陽向

どこからともなく
ゆくえをさまたげようとする
いたみが
むねにひろがります

さいきんはもう
おくすることもなくなりました
ただずっとくもんするばかりではありますが
それをこまったなとかんじることもありません

うっとうしいとはらいのけることのできるいたみでもないし
わめけばいやされるほどのすくないりょうでもないので
じゃっかんふんぬしているじぶんをかくにんしながら いたみのとらえどころをつかみ
ねているひとのかたにもうふをかけるようにそっとなぐさめるのです

そうするとうけいれられたいたみは
いやしにすがたをかえ ゆくえにさらなるゆくえをもたらしてくれます
ただ すこしばかりまたすがたをかえるときのことをかんがえると
せんりつにちかいふあんをおぼえますが

もしこのいたみがじぶんにやどっていなかったらと なんどもおもったけれど
そうしたら いまのなんばいもうすいじぶんだっただろうとかんじます
いたみとじぶんがしずかにゆくえをきたいしているはなしごえが
なによりききごこちよいです

ほんとうにとてもふしぎなことです
じぶんもいたみもおたがいがいみきらっているのに
はなすじかんはだれよりもながく
いつまでもいっしょにいたいとおたがいをまもりあっているのですから

いたみはだれよりもやさしくそばにいます
すこしばかりむずかしくわかりにくいだけで
あいてのなみだをいちばんりかいしているのですから
じぶんはそっとなぐさめうけとめてあげればいたみはあんしんしいやされながらねむるでしょう

いたみがねむっているとき
ぼくはいつもいたみにかんしゃします
いつもありがとう
おかげでひびこんなにもちからづよくいきているよ

いたみのせんさいなねいきからは
いやしがながれでて
じぶんのこころにきゅうしゅうされます
いたみがなければいやされることはないのだとかんじてきゅうしゅうします

ああ なんてしあわせなのでしょう
かこもいまもこれからも
じぶんのささいなじんせいにやどった
このいたみというすばらしいながめのけしき

そのけしきのなか
じぶんもいたみもともになみだをながしながら
ながいじかんをかけて
けしきににじをつくるのです

でも そうなんです
にじははれたらきえてしまいます
にじがきえたときには
かいせいのなかでじぶんといたみはてをそらにのばしているでしょう







自由詩 いたみ Copyright 陽向 2014-10-10 22:48:53
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