カルマン(ごう)
Giton
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閉め切られた扉が白く光る
神は要らないと古い書物はおしえる
きみたちの歩行 悪寒 口笛
そしてひとつの鼓動と
またひとつ滲み出す苦い汗と
きみたちサットヴァのカルマンが
もうひとつの世界を生みだすのだと
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アビダルマ・コーシャと
聖文字で記された書物をぼくは投げ捨て
白い扉を押せばそのままひらかれて
そこにひかりは射し込むことを禁じられ
空気はうごいているのか止まっているのか
わからないほどほのかなエンジェルの吐息
胸にそよぐカルパの初めの風
きみの胸に
そしてぼくの胸に
扉は拒むように白くひかり
カルマンの渦にぼくは初めてのもののように身をひたし
はるかな記憶は洩れ来ることもなく
きみのカルマンにぼくは身をひたし
永い永い歳月きみがそだてつづけたこの渦に羅の匂いを求め
瘴気のうちにこうべを垂れ
ぼくはただ融けゆくことのみを願う
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押せばひらかれる扉のように
けっして拒むことのなかったきみに
押せばいつでもひらかれて
願わなければ離れてゆくだけの
きみのカルマンはうずたかく積み
ぼくは遠ざかっていた歳月をおもい
扉は白く光りつづけ
訪れる者なければ雲は何層にも積み
カルパの先のカルパのその果てで
きみはいつか訪れるものを待ちつづけている
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(注)1カルパ=43億2000万年
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