赤い糸。
梓ゆい

繋がる糸にたぐられながら

「この人に、会うためだよ。」と教えられながら

小学六年生の女の子は

一冊の漫画本を買った。

彼は、27歳。

彼女は、12歳。

どこで出会い

どこの誰かも知らぬ

大人と子供。

「この人に、会うためだよ。」

神様は笑って

大人と子供の糸を結び付ける。

遠い遠い未来で引き合い

存在が交じり合うように

神様は二人の間に詩集も置いた・・・・。

「この人に、会うためだよ・・・・。」

そっと耳元で囁いて

神様はもうひとつ

丈夫な結び目を作った。

どこにいるのかわからない、男と女。

どこの誰かも解からない、大人と子供。

神様の策略に乗せられて

振り向きざまに遠くを見つめる二人は

漫画本と詩集を袂に

反対方向へと歩き出す。

遠い遠い未来で出会えるよう

神様のイタズラに遊ばれながら・・・・。




自由詩 赤い糸。 Copyright 梓ゆい 2014-10-10 01:30:21
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