赤い糸。
梓ゆい
繋がる糸にたぐられながら
「この人に、会うためだよ。」と教えられながら
小学六年生の女の子は
一冊の漫画本を買った。
彼は、27歳。
彼女は、12歳。
どこで出会い
どこの誰かも知らぬ
大人と子供。
「この人に、会うためだよ。」
神様は笑って
大人と子供の糸を結び付ける。
遠い遠い未来で引き合い
存在が交じり合うように
神様は二人の間に詩集も置いた・・・・。
「この人に、会うためだよ・・・・。」
そっと耳元で囁いて
神様はもうひとつ
丈夫な結び目を作った。
どこにいるのかわからない、男と女。
どこの誰かも解からない、大人と子供。
神様の策略に乗せられて
振り向きざまに遠くを見つめる二人は
漫画本と詩集を袂に
反対方向へと歩き出す。
遠い遠い未来で出会えるよう
神様のイタズラに遊ばれながら・・・・。