祈りに似ている
千波 一也
わたしの知らない
誰かの食事
わたしの知らない
誰かの寝息
そんなこと
知らないなら知らないで
なにひとつ困らない
そもそも
知らないことのほうが
はるかに多い
わたしの知らない
誰かの靴音
わたしの知らない
誰かの電灯
それらは
祈りに似ている
知らなくても構わないけれど
知らないままではいられない
厳しさと優しさが
そこはかとなく
祈りに似ている
自由詩
祈りに似ている
Copyright
千波 一也
2014-10-09 21:49:13