残り物
佐和
わたしのカレは
私が淹れるドリップコーヒー(甘い香りの)
を、のみ残す カップの下らへん いつもそう
私が作った豚肉のしょうが焼きを食べて
汁に溶けそうな玉ねぎのいくらか
も、食べのこす そう、千切りキャベツのいくらかも
魚の骨にくっついて離れない身
も、きっと残すだろうな
カレは 私を愛してみるけど、やっぱり
愛し残しちゃう
たぶん 私の一部、ほんの一面しか
愛せない 知ろうとしない
カレが帰ったあと わたしは
残りの全部を可愛がってあげる
のこりのゼンブを愛してあげる
カレが愛さなかった ワタシの「残り物」を丁寧に味わいたい
だって。「可哀想」じゃない?
ワタシ、カレとは違う人間だから。
そうするってきめた。