そういう子でした
千波 一也
大人の期待を裏切らぬよう
寡黙な少年を演じきりました
大人のあいだに流れる噂と
その発信源である
個々の大人の評判を傷つけぬよう
物言わぬ少年を守り抜きました
こころを開け、と命じられても
そのすべはとうに捨ててしまいました
それでもなお命じるのなら
返してください
剥奪したものを
一から返してください
誰にも聞かれない
誰にも見られない
求めた結果ではない秘密の部屋で
こころは開かれるのでした
そっと、あてどころなく
そういう子でした
わたしは
そういう子でした
自由詩
そういう子でした
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千波 一也
2014-10-07 08:53:24
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