きみはきみの重ねた日々を
だれかにあげることはできない
きみの苦痛を
ひとに与えることはできない
つらくて寒くてさびしい朝のこと
きみだけが知っている

ひとりで知らない街に潜り込んだとき
きみは自由で胸が震えたね
ひとりで帰路を踏み
立ち止まって肩を震わせたね


きみはきみだけのものだ
きみの気持ちなんかだれもわからない
きみの歓びや幸いもわからない
きみだけに与えられたいつくしみを
だれかに降らすことはできない

きみはきみを支配し
きみのために豊かに泣き、ほほえみ
怒りを燃やしていて
かなしみに歪みながら
ずっと燃えていて




(140610)


自由詩Copyright  2014-10-06 18:05:00
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