道のり
ヒヤシンス
舗道を照らす外灯を見上げ、ふとため息を漏らす。
胸の奥にしこりがあるような気がして、そっと煙草に火を付ける。
時を刻む秒針が不整脈のように歪んでいる。
こげ茶色の幾つもの顔から感情のこもらない視線を感じる。
駅から家までの帰り道。
はっきりとした意識の中で、電柱に括りつけられている看板を
蹴り、殴り、剥がしにかかる。
どうにもならないことは分かっていた。
感情の破裂による衝動的暴挙。
過ぎ行く人達の視線。次第に熱視線に変わる。
暗闇に浮かぶ関わりたくないオーラ。
何者でもない僕は泣いていた。
どこに向かってゆけばよいのか。
この心も、重なる未来も。