道のり
ヒヤシンス



 舗道を照らす外灯を見上げ、ふとため息を漏らす。
 胸の奥にしこりがあるような気がして、そっと煙草に火を付ける。
 時を刻む秒針が不整脈のように歪んでいる。
 こげ茶色の幾つもの顔から感情のこもらない視線を感じる。

 駅から家までの帰り道。
 はっきりとした意識の中で、電柱に括りつけられている看板を
 蹴り、殴り、剥がしにかかる。
 どうにもならないことは分かっていた。

 感情の破裂による衝動的暴挙。
 過ぎ行く人達の視線。次第に熱視線に変わる。
 暗闇に浮かぶ関わりたくないオーラ。

 何者でもない僕は泣いていた。
 どこに向かってゆけばよいのか。
 この心も、重なる未来も。


自由詩 道のり Copyright ヒヤシンス 2014-10-06 02:15:30
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