絵空事
やまうちあつし
絵空事が好きだ
私の好きなものが
二つも入っている
ミロの絵はとてつもない
子どもの落書きのようでいて
都会の喧騒のようでいて
原始人のひらめきのようでいて
神話の亡骸のようである
今日の空は果てしない
青さは海にも伝染し
雲は思想を聞き流し
雨は時折星を洗って
夜は心を眠らせる
空を一枚のドアに見立てて
そこから外へ
ぎい、ばたんと
出て行ってしまう人もいる
絵空事が好きな私を
近所の人たちは嘘つきと呼ぶ
悲しいけれど
さみしくはない
自由詩
絵空事
Copyright
やまうちあつし
2014-10-05 10:08:08
縦