◎精神観測
由木名緒美

弄ばれた真黒な林檎を
切り刻んでその口にいれよう
団子虫のように足を包んで眠った夜
夢の胸腔にあなたの手を引き寄せた
不平等さえ飲み込んで
平和の砂漠を幻視する
夏 抜け殻はひとつの印を刻み込み
貫く熱に焦げた影

一滴も零してはならぬ
不可思議な愛憐を
人は惑い落としてゆく
謎は未知に縛られ記憶の彼方
跳ね返ってきた救済は何億光年を彷徨うだろう
大声で笑ってみせて
頃合いのよい果実も実をつける頃
私達はイチミリも眠らず夜を明かす
秒読みの高揚に足を浮かせて
重力が惑う一瞬に
たしかにこの身を浮かせたんだ
偶然がかしずけば俗語になる
神聖な過ちに飲み込まれよう
イチ ガ ゼロ ニナル
夜明けはもうすぐ
さあ精神観測スピリチュアルを始めよう


自由詩 ◎精神観測 Copyright 由木名緒美 2014-10-01 00:04:30
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