空虚に
陽向




いつからか
自分は空虚だと感じはじめていた
いろんな大切なものから離叛していく自分が
悲しくも 嬉しくも いじらしくも 多様にとれ
しかし どれも誇張していた
いつも物憂くて そんな自分に当惑してばかり

君を見た
職員室の前で君は泣いていた
僕は数えていた 6回目か
君の泣き顔がたまらなく好きだった
美しい顔からうすいうすい憂愁が現れ
いつもは見られないうろたえている姿を
僕は眩惑されるままに眺めた

空虚になっていた僕の臓腑に君の泣き顔が染み渡った
この世界は出鱈目だと思っていたが 君の泣き顔は違った
もうそれだけでみるみると生きようと思った




自由詩 空虚に Copyright 陽向 2014-09-29 14:50:57
notebook Home