囚地
アラガイs


一粒の涙膿む川は遠く使者を迎え入れる墓穴が崩れた粉塵の頂

そのとき雨は赤土を滑らせ剥き出しの瘡蓋が捲れる

二粒の痛みが火柱を磔に叫ぶ愚か者よこの大地から去れと

舞う風を頼りに宛もない旅路の支度は狂気とみなされた

瞬いた夜を見上げる瞳に眠る化石を
旅人は誰も知らない

月の欠けた朝には一人の背むしが森に死体を埋めている

これは誰の死体かと尋ねれば親を殺した子供の屍だと何故か口元は弛む

埋める場所を探しあてるうちニ百年は年を取ってしまったと痩せた土にカリを捲く

鍛えた鉄の矢が重力を迂回して消えた星の塊よ斜めから垂直に射抜け

昼間地平線の裏側では救急車のサイレンも騒がしく
国境で夜を受け入れる人々は穏やに渇いている

潮たてば役目を持たない針が横向きに生き延びて
東方より時が通過するのを待ちわびた 。










自由詩 囚地 Copyright アラガイs 2014-09-26 15:27:04
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