縮図
千波 一也



縦横無尽の蜘蛛の巣に
きらり、とひかる
ひと粒の


水に囲われ
ささやかに揺れている
ひとしずくの
時刻

断片的な
その美しさのかたわらに
白く包まれた命がある

つい昨日まで
花々をわたり歩いていただろう
塊がある

もうじき
捕食者は現れるだろう

わたしはそれを喜ばないが
特別に悲しみもしない

だから
ここを去ろうが去るまいが
すべてこの身に任されている







自由詩 縮図 Copyright 千波 一也 2014-09-25 10:42:39
notebook Home 戻る