Sunrain
木立 悟





小さな子らが
涙を浮かべた目を見つめ
虹の瞳だ と言った
たくさんたくさん 集まってきた

特別なことは何もない
すべてを
ただ恐れているのだ
と言った




蒼い笑みの帰り道
まなじりの乾き
片目の痛み
空の痛み

羽を持つものを
またひとつ 見殺しにした
青空の行き着く先
煉瓦の街

蓮には
空と水の境はなく
皆どんよりと
濁った朝を迎える

有機の柱のひとつひとつが
珊瑚になり花になり
羽になり光になり
曇へ曇へほどけてゆく

雨の合い間の光がそそぎ
大陸を照らし 去ってゆく
砂の上の
誰もいない都市の午後

花と花と花が混じり
引き離すことができない
曇はいつまでも曇のまま
川の上の自身を見つめる

蒼から昇る光のつながり
金属を映す水の色
応える機械 呼ぶ機械
離れゆく 入り江を 離れゆく




目をあけると
子らはまだのぞきこんでいた
誰もいない中庭を
曇の影がすぎていった

音は去り 雨が来て
羽を持つ生きものの軌跡が
空を楕円に切り裂いた

子らは言った 虹の国の門だ
わたしは言った 天気雨だよ




























自由詩 Sunrain Copyright 木立 悟 2014-09-25 09:58:57
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