七色
あおい満月
今日からぼくなしで
生きてごらん。
あなたはわたしを川に放流した
わたしは嵐に遇いながら
必死に波にのったわ
満月の夜は切なくて
だけど涙をかみ殺したわ
いつのまにか
わたしにも
あなたと同じ
尾びれに似たような
何かがゆれた。
失ってはならないものなど
わたし以外なにもなかったのね。
あなたがいなくても
あなたの手のなかに
わたしがいなくても
生きていける。
多くは望まない。
この手のひらいっぱいに
つくれるものを
残していこう。
数年後、
わたしは七色の魚になって
あなたに手を振るから。
きっと手を振るから。