はるかな日
Giton
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それは風のようにわたしに入りこみそしてふきすさんだ
なにもかも捨てされと命じなにもかも奪い去ろうとした
わたしはそのざらざらしたふとい幹を両手でつかみ
からだは折れた枝のようになびいた
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青や橙にちらちら燃えるたくさんのつめたい火がながしこまれた
その夜のむこう側で魔術師は巧妙にすがたをかくすすべを心得ていた
かれはまずわたしを象ったとうめいなひとがたをみせひとがたは招き
わたしはひとがたにながれこみそして夜の向こうがわに立った
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わたしは鏡に魅入るわたしが見ると鏡はすがたをかくし見えない境界の
むこうにいる少年がわたしなのかこちらにいるのがわたしなのか
わたしは鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡鏡にとらえられ
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明るいあおぞらのむこうではいつもつめたくいろあせた火がまたたいていた
少年が病んでいた鏡のむこうでそらの彼方しかみえない盲いた少年が病んでいた
まぶたの海で硝子のかけらぶつかりあいかがやき灼くゆらぎわたしは己がここにはいないことを知っていた
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