ひとしずくの夜明け
石瀬琳々
ひとしずく、落ちて夜明けを目覚めゆく希いを祈りを君の瞼に
白い鳥ふいに飛び立つ海岸に遥かな時をひとを忘れる
また夏に帰ってゆく旅誰もいない駅にまどろむ麦藁帽子
まだ青い蕾を心に抱いては日々は花びら風に散りゆく
永遠を波がさらって声もなくただ砂の城崩れる夕べ
遠い日へ列車は走るこだま、こだま、緑に濡れたおもいでのゆく
さびしさは身を揺する花草原にリュート爪弾く風の横顔
目のおくに河は流れるどこまでもあふれて遠く君の原野へ
灯台は極夜を守る波間より指さす方へ光はのびて
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薊道