ひとしずくの夜明け
石瀬琳々

ひとしずく、落ちて夜明けを目覚めゆくねがいを祈りを君の瞼に


白い鳥ふいに飛び立つ海岸うみぎしに遥かな時をひとを忘れる


また夏に帰ってゆく旅誰もいない駅にまどろむ麦藁帽子


まだ青い蕾を心にいだいては日々は花びら風に散りゆく


永遠を波がさらって声もなくただ砂の城崩れる夕べ


遠い日へ列車は走るこだま、こだま、緑に濡れたおもいでのゆく


さびしさは身を揺する花草原にリュート爪弾く風の横顔


目のおくに河は流れるどこまでもあふれて遠く君の原野へ


灯台は極夜を守る波間より指さすかたへ光はのびて






短歌 ひとしずくの夜明け Copyright 石瀬琳々 2014-09-24 14:07:36
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