唯一無一
木屋 亞万

都会を走れば
何もないことに気づくだろう
効率的で便利だが
この街には何もない

すべての都会は等しく同じ
この国の都会だけじゃない
便利に支配された都会は
速さに乗っ取られた道路は
みんな同じ顔をしている

若者の群れには
誰もいないことに気づくだろう
美しく洗練されているが
この人たちには何もない

すべての若者は等しく同じ
流行に乗っ取られた若者は
同一化を求める個性は
みんな同じ顔をしている

田舎へ行けば何かがあるのか
田舎には本当に何もない
ただ田畑と山があるだけ

年寄りには何かがあるのか
年寄りも何も持っていない
ただ年を重ねただけ

生き物なんて所詮
興味を失えば
どれも同じに見えるじゃないか
人はいずれみんな死ぬ
世界もいずれ地に埋もれる

離れてみれば
何もかも
ないも同じだ
遠くへ行こう


自由詩 唯一無一 Copyright 木屋 亞万 2014-09-23 22:16:34
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