たまごかけごはん
やまうちあつし

私は
食べるであろう
たまごかけごはんを
タクラマカン砂漠のことを考えながら
沢庵を向こうに押しやりながら
足りないものはなくならない
正しいものはどこかあやしい
楽しいことは覚えられない
魂に悪い、と誰かが言った
タコさんウインナーを娘の目を盗みつまむ
頼りない天使とはクレーだったか佐藤だったか
戦い疲れた兵士のように
家を失くした子どものように
昨夜の悪夢のことは隠して
司祭のように
追い剥ぎみたいに
食べるであろう
たまごかけごはんを
食べ終わったら
永遠に
考えたりはしないのだ
永遠のことなど
あの人のことなど
     


自由詩 たまごかけごはん Copyright やまうちあつし 2014-09-23 13:53:04
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